骨粗鬆症とは、さまざまな原因によって骨がもろくなり骨折しやすくなる病気です。
骨は人間の体を支える重要な臓器であり、骨がもろくなることで体中に悪影響が出現します。
骨粗鬆症は女性に多く発症する病気であり、その原因の大半は女性ホルモンにあります。
閉経によって女性ホルモンのバランスが乱れ、骨の代謝(骨を作ったり骨を分解したりすること)が上手く機能しなくなり、骨粗鬆症が発症します。
統計的には、男性の骨粗鬆症患者は、骨粗鬆症患者全体の4人に1人程度であることが知られています。
今回はそんな骨粗鬆症の原因から治療までを詳しく解説します。
骨粗鬆症の原因とは?
骨粗鬆症は大きく分けて、原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症の2種類に分類することができます。
原発性骨粗鬆症とは、閉経(女性ホルモンの影響)や加齢によって骨がもろくなる状態です。
一方、続発性骨粗鬆症とは、他の病気や薬の副作用、生活習慣などが原因で骨がもろくなっている状態です。
それぞれで治療方法が異なるため、骨粗鬆症の原因を明らかにすることが重要です。
女性ホルモンが骨粗鬆症の原因?
骨粗鬆症は圧倒的に女に多い病気です。
骨粗鬆症の患者は50歳前後から急激に増加することが分かっています。
閉経によって女性ホルモンが減少することで、骨量(骨の量)が著しく減少します。
そのため、閉経を迎えた女性の多くが骨粗鬆症を発症しており、60歳代では2人に1人、 70歳以上になると10人に7人が骨粗鬆症といわれています。
人間の体は骨を作る細胞(骨芽細胞)と骨を壊す細胞(破骨細胞)によって、骨の量がコントロールされています。
女性ホルモンは骨を作る細胞の働きに大きく関与しているため、閉経によって女性ホルモンの量が急激に低下することで骨のバランスが崩れてしまいます。
もちろん、骨の形成には女性ホルモンだけが影響しているわけではなく、カルシウムやビタミンDなどの栄養素やコラーゲン、運動習慣なども大きく関わっています。
骨粗鬆症の症状は?
骨粗鬆症の代表的な症状は、骨がもろくなることに伴う骨折の増加です。
とはいえ、多少骨の量が低下しても自覚症状が出現しない事が多く、初期症状が少ない(ほとんどない)という患者が大半を占めています。
徐々に症状が進行することで、「背が縮んだ気がする」、「腰が曲がった気がする」などの自覚症状が出現します。
骨がもろくなって痛みが出ているという場合では、すでに症状がかなり進行している状態であり、骨折を起こしてしまっている可能性も考えられます。
骨の量が著しく減少している場合は、階段の上り下り、起き上がるときに手をついた、くしゃみをした、などのちょっとした動きでも骨折する可能性があります。
特に手首や背骨、太ももの付け根は骨粗しょう症による骨折の頻度が高く、本人、介護者共に十分な注意が必要です。
骨粗鬆症の検査は?
骨粗鬆症の検査は骨密度を測定することで行われます。
骨密度とは骨の強度を調べる検査であり、密度が80%を下回ると骨粗鬆症と診断されます。
骨折の状態などはレントゲン検査やMRI検査などを用いて検査されます。
骨粗鬆症は症状が出にくい病気であるため、症状がない状態でも定期的に骨密度の検査を受けておくことが重要です。
骨粗鬆症の治療は?
骨粗鬆症治療の基本は食事療法と運動療法です。
乳製品や小魚、海藻などカルシウムを多く含む食品を摂るだけでなく、カルシウムの吸収を助けるビタミンDやビタミンKが豊富な魚介類や納豆なども積極的に摂るようにます。
さらに、適度な運動は骨量を増やす効果が期待できるだけでなく、バランス運動やストレッチを行うことで、転倒しないための筋力やバランス力を身につけることができるため、自分の体にあった強度の運動を行うことが大切です。
しかし、骨量の状態によっては、運動によって症状が悪化する可能性があるため、必ず専門家の指導のもとで行う必要があります。
また、骨の形成をサポートする薬や女性ホルモンの働きを補う薬が使用されることもあります。
骨粗鬆症の予防には生活習慣が必須
骨粗鬆症を発症することで、日常生活の質が著しく低下します。
だからこそ、症状を発現する前から、バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠や日光に当たる生活など、日常生活のリズムを整えておくことが重要です。
特に女性は骨量が低下しやすいため、カルシウムやビタミンDなどの栄養素の摂取を心がけましょう。